Musée de l'École de Nancy

19世紀末から20世紀初頭にかけてナンシー出身のガラス工芸家エミール・ガレが中心となり結成された芸術運動の一派「ナンシー派」。
有力なパトロンだったゴルバン氏の私邸を改装し、ナンシー派美術館として公開されている。
整えられた美しい中庭を抜け、エントランスへ。

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アールヌーヴォーと言われても、さほど深い知識は持っていない。
どちらかというとその後興ったアールデコのほうがずっと好きなディテールだし、ぱっと頭に浮かぶのは、ギマールによるパリのメトロ駅のファサードだとか、ガレの瀟洒なテーブルランプとか。ありきたりなものばかり。
でもここ数年、市で出会う古い生活雑貨を通して、このあたりの時代感がとても気にかかるようになってきた。
このミュゼを見学することで、頭の中にある朧げなイメージが少しでも明確になってきたらいいなと思う。

2階建ての邸宅には、幾つもの小部屋が連なっていて、当時のスタイルでデコレーションがなされている。
個々のモチーフを鑑賞するのではなくて、様式として落とし込んであるのがすばらしい。
ガレのランプもこの空間の中で見ると高価な美術品ではなく、生活工芸の一品なんだと感じられて、ぐっと親近感を増す。

そして驚いたのは、木製品のバリエーションが多いこと。
椅子やテーブル、キャビネットなど、身近な生活小物や家具などが、すべてアールヌーヴォーで彩られている。

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Émile Gallé _ Lit Aube et Crépuscule, 1904

夜明けと夕暮れのベッド

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チューリップがデザインされた東洋風の小箱。
鍵をかけて大切なものが仕舞われていたんだろうか。
右下に刻まれたサインも素敵。
ガレが木工芸を作っていたなんて、全く知らなかった。

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階段の踊り場には前時代的な空気も残されていて、心休まる空間。

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階段奥のダイニングルームも圧巻だった。
設えられたテーブルを眺めていると、アールヌーヴォーの暮らしの中へタイムトラべルした気分になる。

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なんてモダン。スタイリッシュ。
フィゲラスにあるダリ美術館を、ふと思い出す。
考えてみれば当たり前のことなんだけど、フォルムやデザインばかりに気をとられていて、根底にある情熱を見逃していた。
古い価値観を崩して新しい息吹きを吹き込もうとするアールヌーヴォーの精神が、ダイレクトに響いてくる。
頭ではなく感覚で理解ができたと思えた瞬間。
はるばる来てみたかいがあった。

庭に出て深呼吸。
当時の雰囲気で整えられた庭園は、フランス風というよりもイギリス的な空気を含んでいる。
アーツ&クラフツやウィリアムモリスにも思いを馳せて。

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by 84vaucluse | 2015-03-05 15:18 | 2014.9 France
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