カテゴリ:2014.9 France( 15 )

Metz ふたつの教会

ポンピドゥーの見学を終え、次の目的地へ向かう。
メスに興味を持ったのは、ふたつの教会の存在を知ったから。
マルク・シャガールとジャン・コクトー。それぞれのステンドグラスがあるという。
パリからの小旅行、元々はシャガール目当てでマインツへ行こうとしていたわけだから、これは何だかピンときた。
コクトーのある教会は、結構マイナーな場所のようで、あまり情報も出て来ない。
見つかるかしらん、という心配は杞憂だった。
地図を手に15分ほどでたどり着く。

Eglise Saint-Maximin サン・マクシマン教会。
重いドアを空け、薄暗い内部に入る。
案の定、中はひっそり。
誰もいない空間にコクトーの世界が広がっている。

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コクトーらしい幾何学模様や、美しいブルーのグラデーション。
ひし形に星が入ったシンプルなデザインが、すごく好み。
どのガラスにも、ひとつひとつコクトーのサインが入っている。
わわ、興奮。
いつまでも見飽きない。

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祭壇の横のテーブルにコクトーと教会にまつわるリーフレットが置かれている。
木箱にお金を入れ、ひとつ頂く。
さてそろそろ次の教会へ。





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とにかく古いメスの街。3000年もの歴史を持っている。
独特な黄色い石の建物が立ち並び、ナンシーとも、もちろんパリとも異なった雰囲気を纏っている。
ドイツとフランスの間に挟まれ揉まれてきた歴史があるけれど、そんなことには動じない、力強さのようなものを肌で感じる。


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坂の街。
中心部は小高い丘になっているらしい。
方向だけを見定めて、あとは適当に流されるまま歩いていく。
だんだんと人通りが増え、賑やかな界隈に入ってきた。
カフェや商店も立ち並び、このあたりがきっと街の中心部。
ふらふらと彷徨っていたら、路地奥に大きな教会が見つかった。


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Cathédrale Saint-Etienne de Metz サン・テティエンヌ大聖堂。
そびえ立つ塔の高さに圧倒される。
13世紀から20世紀に至るまで、さまざまな時代のステンドガラスに彩られており、観光客もたくさん訪れている。

目当てのシャガールは2作品。
ひとつめは、ブルーと赤が印象的なシャガールらしい彩色の1枚。
じっと眺めていくうちに、どんどん細部が見えてきて、なかなか目が離せない。

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もう1枚は、イエローベースの明るいデザイン。
教会のステンドガラスではあまり見かけない個性的な色調が印象的。
窓の位置が高すぎて、私の技術じゃ上手く撮影できそうにない。
カメラは諦め、肉眼で目に焼きつける。

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パリに戻る列車の時間が気にかかる。
目的のシャガールは鑑賞できたし、少し早いけど、駅に向かおう。

ぐるぐると、つかの間の旧市街散歩。
賑わうシャルキュトリーで足を止める。ウインドーにキッシュ・ロレーヌ。
本場の味を試してみたいけど、ごろごろ入ったベーコンはちょっと苦手。サーモン入りのキッシュを選び、テイクアウト。
今晩の食事が決まった。

さらに気になるお店発見。この街にしてはめずらしいシックな外観のパティスリーが目に留まる。
ここって確か、M.O.Fを持ってるムッシュの有名店だよね。
Franck Fresson。せっかくなので入ってみよ。
ケーキだけでなく、ショコラ、焼き菓子、ヴィノワズリーなど、多種多様なラインナップ。
マカロン2種と、アーモンド生地の薄い焼菓子を購入し、駅に戻る。

余裕を持って早めに着いたら、列車が遅れているもよう。
何度もアナウンスが流れるけれど、到着はさらに少し遅れるみたい。
夕刻の駅のホーム。
少しだけ肌寒くなってきた。

TGVにて一路パリへ。
列車に遅れが出たために、乗り継ぎなどができなくなった乗客のため、車掌が通路を廻っている。
フランスらしからぬサービスにちょっと感心。

暮れゆく景色を眺めていると、あっという間に東駅に到着した。
駅前のバス停近くで、なにやら揉め事。若者が集団で騒いでいる。
ちょっと物騒な空気感に、皆が遠巻きに様子を伺う。
パリに戻ったという感じ。
気持ちを引き締め、さ、家まで帰ろ。




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by 84vaucluse | 2015-03-23 17:48 | 2014.9 France | Comments(0)

Centre Pompidou-Metz

市街地とは反対側に駅舎を出ると、すぐ目の前に美術館がある。
迷う間もなし。

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パリにあるポンピドゥーセンターの別館として、2010年5月にオープンしたポンピドゥーメス。
坂茂氏とフランス人建築家ジャン・ドゥ・ガティンヌ氏のチームによる設計で、展示内容もさることながら、建物を見るのを楽しみにしてきた。
坂氏といえば、昨年台湾で見たペーパードームが記憶に残る。
語り口がユニークで、なんだか気になる変なおじさん。笑

駅から続くスロープを下り、建物に近づいていく。

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中国の竹の帽子にヒントを得てデザインされたという木組みの屋根。
映画館みたいなエントランスから館内へ。
思ったよりも、ずっとこぢんまりとしている。

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クロークに荷物を預け、まずは地上階から見学開始。
常設展はなく、フロアごとの企画展が、随時開催されている。

まずはミロに出迎えられる。

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続く部屋には、Yan Pei-Mingという中国人画家の作品が並ぶ。
重厚で大陸的。グレイッシュな色彩感。

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Robert Delaunay。初めて聞く名前。
20世紀前半に活躍したフランス人の抽象画家。
カラフルな色彩と現代的なパターンが美しい。

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建物は六角形にできており、隣りの部屋が少しずつ見え隠れしながら続いている。
倉庫のようなさっぱりとした空間に、作品がさらりと置かれ、軽やかな気分で鑑賞できる。
とてもモダン。今の空気感。

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混迷の世界。
Pierre Alechinsky _ Le Monde Perdu 1959

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メスに着くのが予定より遅れたため、じゅうぶんな時間が無い。
足早に上階の展示を巡る。
3階でやっていた企画展がすごく良くて、じっくりと見られなかったのが心残り。


最上階にはピクチャーウインドー。
メスの街並が、絵の中に紛れ込んだような気分で眺められる。


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天井近くのテラスに出ると、木組みの屋根が迫力満点で迫ってきた。
さて。
そろそろ次の目的地へ。

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by 84vaucluse | 2015-03-22 08:06 | 2014.9 France | Comments(0)

NancyからMetzへ

25/09/2014


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朝起きて、ヴォレを開ける。
昨晩はiPhoneをいじくりながら、いつの間にか寝入ってしまったらしい。
明け方まで電気つけっ放しだったわよ。電気代高いんだからね、とマダムに少し怒られた。
平謝り。ジュスィデゾレ。

ダイニングテーブルに朝ごはんの用意がされている。
手作りのジャムが3種。
ポットに入ったコーヒーとミルク、トーストされた英国風の薄切り食パンが出てきた。
昨日はどこを廻ったとか、おしゃべりしながら朝食をいただく。
ナンシーらしいお土産が買えそうなおすすめの菓子店を教えて貰った。
朝からメスへ移動するつもりだったけど、予定変更。
昨日行かなかったナンシー美術館に寄ってみることにする。
部屋を片付け、お礼を言って部屋を出る。
短い滞在だったけど、メルシーボークー。

ふたたび、スタニスラス広場。
昨晩の幻想が嘘のよう。広場は昼間の顔に戻っている。
石のベンチにもたれて、開館を待つ。

Musée des beaux-arts de Nancy ナンシー美術館へ、オープンと同時に入館する。
扉を開けると美しいホール。チケットを購入し、学校のロッカーのような鍵付き棚に荷物を預ける。
最初の部屋は、salle Jean prouvé。
プルーヴェの家具がずらりと並んでいる。

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うはー、いきなり大興奮。
家具だけじゃなく、建築模型やパーツ類も展示してある。
そうか、プルーヴェってナンシーの人なんだ。
第二次大戦中にはレジスタンス活動にも関わっており、ナンシーの市長を務めたこともあるらしい。
プルーヴェの父親と親交のあったエミール・ガレが、ジャンの名付け親というのも驚き。
モダンデザインの家具職人というイメージしかなかったけれど、色んな顔を持っている。


つづいて、Yayoi Kusama。

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え、このミュゼすごい。草間先生も観れちゃうの。
鏡に照らされ、光の海が無限に広がっている。

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欧州の美術館を好きなのは、空間ごと、その雰囲気までも愉しめるから。
古い館をモダンに改築。こういったリノベーションはフランスの得意技。
中庭からも自然光が入り、閉塞感はない。
こんなミュゼが近所にあったら、ふらっと遊びに通いたい。

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地階には、ドーム兄弟の作品を中心に膨大な数のアールヌーヴォー。
15、6世紀の城壁遺跡をそのまま使った展示室は、発掘現場に居合わせたような独自の雰囲気を醸し出す。
照明を落とした空間に、ガラスたちが浮かび上がっている。
このミュゼの大きな目玉だと思うけど、人気はなく、独り占め。


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思ったよりも見応えのある素敵なミュゼで、すっかり長居をしてしまった。
見逃さなくて、ほんとによかった。

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教えてもらったコンフィズリへお土産を買いに行く。
ここ、ガイド本にも載っている有名な菓子店みたい。
地元のマダムたちが、ひっきりなしに訪れている。
スペシャリテは、マカロン・ド・ナンシー。
ふだん目にするガナッシュを挟んだパリ風マカロンとは異なり、アーモンド生地を焼いただけの素朴なもの。
白い紙に12個ずつ、焼きたてが積み上げられている。
紙をふたつに折りたたみ、白い箱に詰め、仕上げにカラフルなビニールリボン。
懐かしい洋菓子店のようなパッケージングもいい感じ。
他にも、ロレーヌ名産のミラベルやヴェルガモットを使ったお菓子がたくさん。
目移りしつつ、買い物終了。

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Maison des Sœurs Macaron
21 Rue Gambette 54000 Nancy

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足早に駅まで歩く。
エクセルシオールのウインドーでカメラを向けたら、窓越しにギャルソンヌが笑ってくれた。

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自販機で切符を買い、ホームに向かう。
ロレーヌ地方のterは、カラフルな黄色い車体。
ルクセンブルク行きの列車に乗り込んだ。


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30分ほどでメスに到着。
ひっそりとした構内を抜け、さっそく行動開始。

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by 84vaucluse | 2015-03-17 17:27 | 2014.9 France | Comments(0)

Nancy 夜景雑感

夕刻のスタニスラス広場。

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日が傾きかけて、空の色が少しずつ変わってきた。
仕事帰りの人達が、広場のあちこちに集っている。
自転車に乗り家路を急ぐ人もいて、こんな優美な広場を横切り、毎朝毎晩仕事に行って帰って来るって、いったいどういうことなんだろう。
それが当たり前に存在している人生って。
いや違う。意識をしていないくらいの日常にすごいものが詰まってるって、私の中にも確実にある。
などと、少し哲学的なこと考えたりして。


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完全に日が落ちて夜景がきれいに見えるまで、少し時間を潰してこよう。

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あてなく街をぶらつき廻り、再び広場に戻ってきた。
足を踏み入れた途端、言葉を無くす。
美しさに息をのむ。

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左はオペラ座。
右側の建物は、オーストリアから輿入れするマリーアントワネットが道中に泊まったという四つ星ホテル。

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市庁舎をぼうっと眺め、いつまでも立ち去り難い。

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by 84vaucluse | 2015-03-14 19:03 | 2014.9 France | Comments(0)
城門から引き返し、Grand Rueをてくてく歩く。
気さくな感じの商店街。
きっとずっと昔から、こんな雰囲気の通りだったに違いない。

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パン屋のウインドーには、クブロフも並んでいる。

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気持ちがいいから、何度も空を仰ぎ見て。
教会の屋根にガーゴイル。

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左手に折れると、静かな広場。
ロレーヌ旧官邸 Palais du Gouverneur。
カーブを描く回廊が美しい。

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クラシック。エレガント。ほんのり混じる東の文化の香り。
そう、求めていたのはこの感じ。
この空間に身を置きたくて、ここまでやってきたんだなあと、柄にもないことを思いつく。


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隣接するカリエール広場は、緑の木々に包まれて、平和な空気に満ちている。
奥のほう、凱旋門が見えている。

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再び、スタニスラス広場。
午後になり、ずいぶん人出が増えてきた。

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広場と外部を隔てているのは、金細工で覆われた鉄の門。
デコラティブな装飾が施されているのに、嫌みがなくて、ただその美しさに見とれてしまう。
当たり前のことだけど、すばらしいデザインは、好みとはまた別の次元ですっと心に響いてくる。

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広場から外に出て、なだらかな坂を下っていくと、ぐっと庶民的な界隈に出る。
こちらは下町。多くの人達が行き交って、くだけた雰囲気。
地図を手にアールヌーヴォーを探し歩く。


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E ANDRE
1804

こんなふうに、刻印のあるものは見つけやすい。


ごくふつうに見える地方都市の繁華街。
立ち並ぶ建物の中に、数々のアールヌーヴォーが紛れている。
どれもが現役。
銀行、パン屋、住居などとして、今も使われているものばかり。


中でも目を引く代表的な建造物、商工会議所。
ルイ・マジョレルによるファサードと、ジャック・グルベールのステンドグラス。
重厚な石造りに映える鮮やかな色合いと、ガラスとアイアンの組み合わせが格別で、近寄ってじっと眺める。
迫力に圧倒され、そしてうっとり。

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続いて、Brasserie Excelsior。
1911年創業の老舗ブラッスリー。著名なアールヌーヴォーの作家たちにより内装が手掛けられた。
オーダーしなくて覗くだけでも大丈夫よ、と宿のマダムに言われたが、せっかくなのでお茶しよう。
蝶ネクタイのギャルソンに迎えられ入店。ちょっぴり緊張。
店内は予想に反して、まったりムード。
地元の皆さんがのんびりと寛いでいる。

ひとり、またひとりとやっきて井戸端会議を始めるマダム達。
新聞を読み耽るムッシュや、仕事の打ち合わせをするビジネスマン。
ときどき観光客がやってきて、さっと写真を撮って去って行く。
目の前の光景は、近所の喫茶店そのもので、贅沢な内装とのギャップに驚くばかり。
駅前側の出口にはモニターが吊り下がり、発着する電車に合わせて人々が出入りする。
日常の生活の場として使い続けられていることが、何より素敵。

Wi-fi をいじくりながら、時間を気にすることなく休憩。


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黒服のムッシュたちが、忙しなく動き始めた。
ディネの準備。
真っ白なテーブルクロスを手際よく広げ、グラスやカトラリーをセットしていく。
正装した夜の顔は、どんなだろう。


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設えられたテーブルを眺めつつ、名残惜しく店を出る。
部屋に戻り荷物を置いて、もう一度街のほうまで出掛けてみよう。

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by 84vaucluse | 2015-03-14 13:07 | 2014.9 France | Comments(0)

Nancy 旧市街散歩

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美術館を堪能し、市街地へと移動する。
街の心臓部、スタニスラス広場。
フランス語らしからぬネーミングは、旧ポーランド国王でありロレーヌ公となったスタニスラス・レシチニスキに由来する。
ポーランド・リトアニア共和国の王であったものの、各国間で繰り広げられた権力闘争に破れた末、後年フランスへとやって来た。
1737年、ロートリンゲン公より譲渡されたロレーヌ公国を一代限りで治めることとなる。
お、また歴史の教科書をおさらいしなくちゃね。

娘婿であるルイ15世を称えるために造らせた王の広場は、革命後に改名されて、今ではスタニスラスの銅像が建つ。
ロココ様式の見事な金細工が施された黄金の門を抜けて、広場に入る。
豪奢な貴族文化の象徴であるロココのスタイルは、正直得意な分野ではないけれど、この広場に威圧感は感じられず、品良くまとめられている。
案外こぢんまりと感じるのは、取り囲む建物の高さが一定で、低層に抑えられているからかもしれない。
ポーランドの文化を感じさせるエキゾチズムがどこかに潜んでいないかと興味を持っていたけれど、紛れもなくフランス的な空気で満たされていた。


広場の一角から、凱旋門へ。

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凱旋門のアーチの中は白い空間。
装飾を排したシンプルな構造なのに、優美さが漂っている。
行ったことないけれど、ウィーンってこんなイメージかも。
ウェディングの衣装を着たカップルが撮影をしている。


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泉を囲む小さな広場。ブラッスリーのテラスにて昼ごはん。
風邪気味なので濃厚なフレンチなどは避け、軽めにしようとハンバーガーを選んでみたら、どどーんと大きなバンズが出てきた。
パテはミンチというよりも超粗挽きの肉々しさ。
たっぷりと添えられたフリットとサラダヴェール、添えられたソースも美味しそう。
いただきます。

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お腹を満たし、散策開始。
さっそく目に入ったのは、角っこにあるアンティークショップ。
ウインドーのデコレーションがすごく素敵。店主は若い世代の男性とみた。
閉まっているみたいなので、外からぐるりと覗き込む。


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11世紀から14世紀の頃に栄えていた旧市街。
中世の雰囲気を残すGrande Rueを歩き進む。



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グランリュをいったん離れ、大きな教会の先にぐるっと廻りこむ。
邸宅が並ぶ静かな界隈。エレガントな街並が続いている。
失礼ながら、駅付近や街の目抜き通りを歩いた時は、いまひとつ垢抜けない地方都市だと思っていたのに。
歴史の持つ底力というものを肌で感じる。

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この石造りの雰囲気は、フランスでも北の地域にしか見られない。
同じく古来より独仏の間で紛争の種となってきたアルザスとも全く異なる街並み。
どこの国に属しているかという意識とともに、街としてのアイデンティティがきちんと保たれているのが、私が欧州に惹かれる理由。


旧市街の北側に位置するクラッフ門 La Porte de la Craffe。
ロレーヌ十字が刻まれている。

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歴史を刻む門の内部は、子供たちの遊びの場。
すり減った石畳を、住民たちが通り抜けていく。


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雲が切れ、青い空が広がってきた。
秋のはじまりを告げる高い空。
楽しい散策、さらに続く。

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by 84vaucluse | 2015-03-11 11:24 | 2014.9 France | Comments(0)

Musée de l'École de Nancy

19世紀末から20世紀初頭にかけてナンシー出身のガラス工芸家エミール・ガレが中心となり結成された芸術運動の一派「ナンシー派」。
有力なパトロンだったゴルバン氏の私邸を改装し、ナンシー派美術館として公開されている。
整えられた美しい中庭を抜け、エントランスへ。

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アールヌーヴォーと言われても、さほど深い知識は持っていない。
どちらかというとその後興ったアールデコのほうがずっと好きなディテールだし、ぱっと頭に浮かぶのは、ギマールによるパリのメトロ駅のファサードだとか、ガレの瀟洒なテーブルランプとか。ありきたりなものばかり。
でもここ数年、市で出会う古い生活雑貨を通して、このあたりの時代感がとても気にかかるようになってきた。
このミュゼを見学することで、頭の中にある朧げなイメージが少しでも明確になってきたらいいなと思う。

2階建ての邸宅には、幾つもの小部屋が連なっていて、当時のスタイルでデコレーションがなされている。
個々のモチーフを鑑賞するのではなくて、様式として落とし込んであるのがすばらしい。
ガレのランプもこの空間の中で見ると高価な美術品ではなく、生活工芸の一品なんだと感じられて、ぐっと親近感を増す。

そして驚いたのは、木製品のバリエーションが多いこと。
椅子やテーブル、キャビネットなど、身近な生活小物や家具などが、すべてアールヌーヴォーで彩られている。

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Émile Gallé _ Lit Aube et Crépuscule, 1904

夜明けと夕暮れのベッド

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チューリップがデザインされた東洋風の小箱。
鍵をかけて大切なものが仕舞われていたんだろうか。
右下に刻まれたサインも素敵。
ガレが木工芸を作っていたなんて、全く知らなかった。

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階段の踊り場には前時代的な空気も残されていて、心休まる空間。

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階段奥のダイニングルームも圧巻だった。
設えられたテーブルを眺めていると、アールヌーヴォーの暮らしの中へタイムトラべルした気分になる。

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なんてモダン。スタイリッシュ。
フィゲラスにあるダリ美術館を、ふと思い出す。
考えてみれば当たり前のことなんだけど、フォルムやデザインばかりに気をとられていて、根底にある情熱を見逃していた。
古い価値観を崩して新しい息吹きを吹き込もうとするアールヌーヴォーの精神が、ダイレクトに響いてくる。
頭ではなく感覚で理解ができたと思えた瞬間。
はるばる来てみたかいがあった。

庭に出て深呼吸。
当時の雰囲気で整えられた庭園は、フランス風というよりもイギリス的な空気を含んでいる。
アーツ&クラフツやウィリアムモリスにも思いを馳せて。

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by 84vaucluse | 2015-03-05 15:18 | 2014.9 France | Comments(0)

Nancyへ

24/09/2014


早朝のTGVに乗るために、真っ暗なうちに部屋を出た。
ほぼ始発のバスに乗り東駅まで。
下町を走るバス路線。仕事に向かうおばさん達の話し声が車内に響きわたっている。
駅構内のカフェにてパンとカフェオレの朝ごはん。
もうすぐ7時。列車が待つホームへ向かう。

郊外に抜ける頃、空が少しずつ明るくなってきた。
緑の大地が広がって、遠くのほうまで平坦な景色が続いている。

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予定どおりナンシーに到着した。
街とは反対側の出口から外に出る。
正面に大きな教会。

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地図を頼りに歩いていくと、5分ほどで目指すお宅が見つかった。
呼び鈴を鳴らし、マダムにご挨拶。
おばあちゃんの家に来たような、懐かしい空間に招かれる。

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ソファに座りお茶をご馳走になりながら、会話を交わす。
猫ちゃんが近づいてきて、いつの間にか膝の上に。
泊めていただくベッドルームは、落ち着いた雰囲気で、軋んだ床がきゅきゅっと音を立てている。

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荷物を置いて、さっそく外に出掛けましょ。
まず目指すのは、ナンシー派美術館。
静かな住宅街をのんびりと歩きはじめる。


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道の両側に大きな一軒家が並んでいる。フォッシュ通り。
人の気配はほとんどなくて、静かで長閑。
パリとは違う地方都市の、少し野暮ったさの残す家並みを飽きずにウオッチング。

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他とは異なる斬新なデザインの建造物が目に入る。
エミール・アンドレによる1904年のアールヌーヴォー。
流線型のデザインだけど、優雅でたおやかな印象ではなく、モダンでシャープ、男性的なイメージ。
この家で暮らしていく気分、どんなだろう。

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アールヌーヴォー以外にも良き時代の面影を残す素敵なお宅がたくさんあって、楽しすぎて目移りしちゃう。

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ジャンヌダルクの象徴でもあり、ロレーヌの勲章の一部にもなっているロレーヌ十字。
街の随所でこのモチーフを見かける。

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散歩を終えて、目的のミュゼまでやってきた。
Mesée de l'École de Nancy。
ナンシーで花開いたアールヌーヴォーの芸術家たちの作品が集められている。
さあ中へ。

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by 84vaucluse | 2015-03-03 22:01 | 2014.9 France | Comments(0)

Nancy_Metz 小旅行

昨年9月、パリに部屋を借り、2週間ほど滞在をした。
通常このくらいゆとりのある日程になると、どこか他国やまだ行ったことのない地方などへ足を伸ばすことが多いんだけど。
そうなると結局パリが駆け足になり、所用を済ますだけになってしまう。
久しぶりにパリでのんびりするのも悪くないな〜。
そんなふうに考えて、パリ中心の旅程を組み立ててみた。

でもたぶん、2週間は長過ぎる。
途中で間延びして、出掛けるのが億劫になり、部屋に引きこもりそうな予感もする。
じゃあどこか、2、3日ほどで行けるところへ小旅行に出てみようかな。
そんな感じで頭を巡らしてみる。

まず頭に浮かんだのは、ドイツ、マインツ。
シャガールのステンドグラスがあるという教会に行ってみたい。
昨年、愛知県美術館で開かれていたシャガール展でこのステンドグラスの存在を知り、ぜひとも実物を見たいと願っていた。

ドイツかぁ、あんまり興味がないんだけれど、、
でも一応調べてみよう。
マインツはフランクフルトから程近く、ローマ時代から続く歴史ある街という。
パリからは列車を乗り継ぎ5時間くらい。
フランス寄りだし、アクセスは悪くない。
でもこれだけを目当てに出掛けるには、ちょっとインパクトが足りないな。

あれこれ調べ、抱き合わせで行けそうな場所などを探していく。
ランスあたりに寄り道しつつ、パリに戻って来れればいいかなと思っていたが、鉄道でのルーティングが案外難しい。
フランスの鉄道網は、基本パリを起点に放射線状に伸びている。
地方の都市間にはルートがないこともしばしばあって、車じゃないとかなり不便。
フランス東部シャンパーニュやアルザスロレーヌ地方も、公共の交通網は限られている。

結局、決め手にかけてマインツ行きは諦めた。仏国内に的を絞る。
「東」の気分とシャガールのステンドグラス、これを手がかりにプランを練ろう。
アールヌーボーの街Nancyと教会とミュゼに惹かれたMetz、1泊2日のルートを思いついた。
このあたり、フランスの地方の中では結構地味めな地域なので、当然ながら旅の情報もあまり見つからない。
まいいや、それはそれで。余計な知識があるよりも、かえって楽しみが増す気がする。
列車と宿を予約して、寄りたい場所の情報を仕入れたら、準備完了。

前置きはこれくらいにして、旅の詳細を記してみます。
自分への覚え書きとしてのものですが、どなたかの旅の参考にもなるのであれば、嬉しい限り。


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◆1日目

<TGV>

Paris EST 7h13 → Nancy 8h51  €33(2e classe) 

フランス国鉄SNCFのwebサイトより、Prem'sという割引チケットを予約購入。
チケットは自宅にてプリントアウト。当日は紙切れを持って直接列車に向かうだけ。
このサイト、いつも結構不安定で操作の途中でエラーが出たり、決済画面に至らなかったり。フランスらしいことがよく起こります。
この手のトラブルは割と頻発しているようで、正直原因などはよく分からない。
トラブルが心配な方は、RAIL EUROPEという日本語対応の予約サイトのほうが安心かも。
私は呑気なほうなので、まあなんとかなるやろ〜と思い、いつも仏語サイトで買ってますけど。

TGVのチケットには、選ぶ列車の日時や時間帯によってさまざまな割引が存在しています。
行き先を検索すると、現時点で購入可能な料金が列車ごとに表示され、希望のチケットが選択できる。
「これが最後の一席。急いで買え」みたいなメッセージがよく出てきますが、ほんとかよ?という感じ。笑
でもやはり早めに買ったほうが、安いチケットに行き当たる確率は高いようです。


<STAY>

Airbnbより予約  ¥6620

世界各地のお宅の部屋を貸し借りできるAirbnbというウェブサイト。
ここ数年、頻繁にお世話になっています。
アメリカ西海岸発のコミュ二ティーシステムで、豪邸からルームシェアまで、さまざまな形態の個性物件が探し出せます。
他所さまのお宅に滞在できて、暮らしぶりを覗き見できるのがとても楽しい。
治安上の問題など、心配な点も無くはないけど、今のところトラブルには遭遇せず。
利用する予定が特になくても、掲載写真を見ているだけで楽しめてしまうので、ご興味がありましたらご覧になってみてくださいね。

ナンシー、メス、どちらの街に泊まろうか、比較をしながら宿を探していきます。
昨今フランスのホテルは地方といえども割と高く、予算を抑えて快適な宿を探すには工夫も必要。
Airbnbだけでなく、ホテルやホステルなど色々な宿を視野に入れて検討します。
一晩だけの滞在なので、駅に近い便利な場所がいいかなと。
年配のマダムがひとりで暮らすアパルトマンの一室に宿泊決定。


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◆2日目

<SNCF>

Nancy → Metz VILLE  ALLER SIMPLE  €7.30

ナンシー駅構内の券売機にて当日購入。返金交換不可と書いてある。
クレジットカードでの支払い方法がよくわからなくて通りかかった駅員さんに尋ねると、すごく親切に対応してくれた。
やはり地方の人のほうが、何かと親切。
ナンシー・メッス間は列車の本数がとても多く、1時間に2本程度がコンスタントに走っている。
事前にHPから時刻表を調べておき、当日の予定に合わせて乗車。
ローカルな車両だけれど、行き先は隣国ルクセンブルク。
メスは西欧の中枢部に位置していて、北に抜ければべルギー、オランダ、北欧へと通じている。


<TGV>

Metz VILLE 16h56 → Paris EST 18h20  €40(2e classe)

パリへ戻るTGVも事前にネットで購入した。これもPrem's券。
利用者の多い夕方の便は、やはり少し高めに設定されていた。
TGVは早割制度が充実しているから、旅程が決まった時点で早めに購入するのが望ましい。
ただ、お値打ちチケットには制約もあり、払い戻しなどできないものが多いので注意が必要。
一方、地方のローカル列車にはプロモーション券の設定が少なく、価格もわりと均一的。
いずれにしても値段と利便性を考慮しつつ、ある程度のところで決断をして購入してしまったほうがいいのかもしれない。


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by 84vaucluse | 2015-03-02 17:01 | 2014.9 France | Comments(0)

フランス旅日誌6

雨が去り、春の日差しが溢れています。
3月が始まりました。
天気も身辺も、何かと慌ただしい季節ですが、心のゆとりを失わぬよう日々を過ごしていきたいですね。

アジアネタが続いたせいで、すっかりフランス色が抜けております。笑々
昨年9月のパリ滞在記、そろそろ再開といきますか。
どうぞ、ゆるりとお付き合いくださいませ。




23/09/2014


メトロ駅まで、いつもとは違う道を歩いてみる。
邸宅が並ぶ静かな通りに、朝の日差しが満ちている。
今日もいい日になりそうな。

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アリーグルで朝市を冷やかしてから、シャロンヌまで歩いてきた。
お昼どき。カフェのテラスを覗き見しつつ、本日のランチを物色する。
鮮やかなサフランライスが目に留まる。わ、美味しそう。
よし、ここに決定。

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パエリアメゾンが運ばれてきた。
スパニッシュのカフェレストラン。
カラフェに使われているボトルにはバスクのマークが入っている。
食後のカフェまで付いて10ユーロって、お値打ちなランチだなぁ。
お隣のテーブルは近所で働くムッシュ達。がっつり肉厚なステーキを食べている。

El Toro Borracho
90 Rue de Charonne 75011

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昼下がり。バティニョール公園へ。
散歩する人、ペタンクする人、ベンチに陣取り読書する人。
子供たちからお年寄りまで、皆それぞれのスタイルで寛いでいる。

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18区の区役所前。
時計の針は18時を指している。
まだ明るい空が広がっていて、夏の名残りが漂っている。

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by 84vaucluse | 2015-03-02 10:42 | 2014.9 France | Comments(0)

Bon voyage a tous!


by 84vaucluse
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